心意理論「三節」

和気功夫

 

武術の核心的なことをいいます。面白くないかもしれません。理解することはできないかもしれません。現時点での、わけししょうが達している境地からの発信であります。

でも、あえてここで宣(のたま)います。でないと、誰にも伝えられないじゃないですか。

わけししょうの表現能力の限界もあります。ご了承くださいませ。

なお、YouTube動画を参考にしていただければ、理解が進む可能性があります。

WAKENYUDO WORKSがあります。よろしければどうぞ。

 

三節とは

中国武術で用いられるのが「三節」という概念です。わけししょうの感覚では、形意拳や心意拳が中心かなあ、と思います。八極とかでも語られたような気がしてますが、これは松田隆智先生が、形意拳から引用したんじゃないかなあ、と勝手に推測してます。その他はあまり見聞きしたことありません。

 

三節とは3つの「梢節」「中節」「根節」に分かれます。

上肢では「手(拳)」「肘」「肩」、下肢では「足」「膝」「跨(腰)」を言います。

これは、打撃に用いる箇所を指すと認識されています。これを相手に当てますよ!ってことです。

 

格闘技と異なり、中国武術では多彩な技法があります。それが我々を魅了するのです。拳(こぶし)をぶつけるにとどまらず、肘を打ち込む、肩で体当たりする。多彩で巧みなコンビネーション、意外な組み合わせ、鮮やかに炸裂すれば相手に決定的なダメージを食らわします。

 

技術的なことを申しますと、ほとんどの拳種(門派)では、梢節がもっぱら用いられる技法で構成されています。まさに「突き蹴り」ですね。

実は、肘や肩、膝を用いるのは難易度が高いのです。自由に動く相手に当てるのが難しいのです。しかも、威力を伝達させるような技はね。 

 

余談になります。技法の説明である「用法」の次元では、あらゆる技が使えるようなもっともらしい説明とデモンストレーションがおこなわれます。「相手が右拳で突いてきたら~」的なやつです。これはこれで必要なのですが、指導者の技量によっては誤解を招きます。というか、武術が役に立たない、使えない、という事態に追い込んでいます。

 

客観的距離と主観的間合い

1対1で立ち合うのが、徒手武術の前提になっています。

ここで重要になるのが、どれくらいの距離を置くか、ということです。残念ながら、このことについては曖昧にされているにもほどがある、って感さえあります。批判してんじゃないよ。現実だからね。

競技では、相手との距離についてはすでに定められているのです。解りやすいのは相撲です。仕切り線があって、そこから立ち合いとなります。剣道は切っ先を合わせるところから。立ち技系は拳を打ち込める中間距離となります。

 

同義に思われている「間合い」という概念があります。中国では「圏」というらしいです。空手では「制空圏」って言葉を用いる場合もあるようですが、軍事用語の「制空権」とごっちゃになってるような気もします。

まあ、簡単に言えば、客観的に計測できるのが距離です。間合いは主体的に自身が待つ、距離に関する感覚といえましょうか。

 

肝心なのは間合いの取り方

「間合い」とは上の句です。そう、下の句がないと完成しない。

まずは、間合いをどう取るのか?ってことが肝要になります。

間合いを取るのに上肢の「三節」を活用します。

相手に対して立ち合い、お約束なく動く、なんらかの攻撃を加えていく。そのときに三節のいずれかを相手に突き付けます。

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なに言ってんの?ってなりますよね。

銃で相手を狙うのとおなじです。距離は関係なく、炸裂させたい技で用いる三節のいずれかで相手を見ます。

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心意では根節である肩で打つことを目論んで、肩で間合いを取ります。心意の「出勢」とする「六合勢」では主体的に肩を用いる気が満々です。わけししょうが展開しているYouTube動画で多くお出ししています。こちらなどをご覧ください。

ただし、これは出発の原則というか基本です。その後に用いる技法によって、拳もしくは肘で相手を付け狙うことになります。当たり前ですけどね。

 

他流派も、参考まで。戴式心意以外に肩で相手を視るのは、わけししょうが思うに、河南の心意六合拳、通備拳などの回族武術があります。少林拳の一部でもありそうですが、套路レベルにとどまるかも。肘で相手を視る門派としては馬氏八極があります。そして、大多数が梢節で間合いを取ります。これは判りやすい。形意拳や意拳、太極拳や八卦掌、南拳などなど。空手やボクシングなどの立ち技格闘技もですね。

得意技を活かすために間合いの取り方が違ってくるともいえます。投げ技の間合いでの接近戦を望む心意系は肩、肘を使いたい八極は肘で相手を狙う、と。

 

ちょっと、混乱させます。三節で相手を狙わないやり方もあります。距離をおいて相手と相対(あいたい)するときにどうするか? そう、中心線をとります。これも間合いの取り方の一形態です。

 

セットで肝要なのは間合いの詰め方

ゴムゴムの実が実際にはありません。我々は怪物くんでもありません。ミスターファンタスティックでもありません。どういうことが言いたいかというと、人間の構造上、徒手での攻撃はとにかく有効射程距離が短いってことです。

間合いの取り方は先に述べたのですが、相手と離れたままでは技が成立しません。そう、当たる距離まで行かないといけません。

無秩序にテクテク歩く、一気に飛び込む、足払いを連続しながら、などいろいろなやり方があります。歩法が武術においては重要になってきます。心意では「鶏歩」を基本とします。歩に蹴りを内包しています。こんな動画も参考にしてください。

 

わけししょうの願い

心意拳では、距離を含めたポジショニングに命を懸けるといっていい。初心の段階では難しいですが、あるていど歩を踏むことができるようになれば、マスターしてほしい。

武器を用いるのにも同様になります。狙いをつけて距離を詰めて、相手をたたく。

 

曖昧で感覚的にピンときにくいのではありますが、武術のアルアルです。受け入れましょう。というか、受け入れられる境地に至りましょう。共々に。わけししょうでした。